2025年5月30日、厚生労働省は令和6年(2024年)における「職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」を公表しました。
熱中症による死傷災害の発生状況
これによると、令和6年に熱中症により死亡または休業4日以上となった労働者は 1,257人(前年比151人増、約14%増加) に上り、依然として深刻な状況が続いています。
建設業・製造業で全体の約4割を占める
死傷災害のうち、約4割が建設業および製造業で発生しており、特に死亡者31人のうち、建設業で10人、製造業で5人が確認されました。
多くの死亡事例では、発症後の初期対応の遅れや、医療機関への搬送が行われなかったケースが見受けられました。これは、 熱中症の重篤化や死亡リスクを高める要因として、今後の対策強化が強く求められる結果です。

(引用元:厚生労働省より)
【令和7年6月1日施行】新たな労働安全衛生規則による対策強化
厚労省は、令和7年6月1日から施行される 労働安全衛生規則(第612条の2)に基づき、すべての作業場に以下の対策を徹底するよう呼びかけています。
- 1. 熱中症のおそれがある作業者を早期に発見するための体制整備
- 2. 熱中症の重篤化を防止するための措置手順の作成
- 3. 上記の体制・手順について、関係作業者への周知徹底
これらの取組により、発症の予兆を早期に捉え、適切な初動対応ができる職場環境の整備が期待されています。

(引用元:厚生労働省より)
「熱中症クールワークキャンペーン」も実施中
現在、厚生労働省は 「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」(5月1日~9月30日) を展開中です。本キャンペーンでは以下の重点項目を推進しています。
- ・暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策の適切な実施
- ・作業を管理する者および労働者に対する労働衛生教育の実施
- ・糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対する医師等の意見を踏まえた配慮
これらの対策を通じて、熱中症の重篤化を防止することが喫緊の課題となっています。
PDF:「熱中症クールワークキャンペーン」
→ https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001496514.pdf